本日は3年(僕は4年)ゼミ生のゼミプレゼンテーション大会に向けての練習で、あれやこれやと文句アドバイスしてきました。その帰り、4年生で昼飯を食べ、コーヒーを飲みに行ったのですが、その時に一番白熱した話題についてブログを書きたいと思います。
我々のゼミについて
我々のゼミは、明治大学経営学部の中でも比較的厳しいゼミ、いわゆるガチゼミとして知られています。担当教授の小笠原英司先生は経営学部の学部長を歴任し、現在大学院長という重役を務めていらっしゃる、本学部の重鎮と言って過言でないでしょう。そのような我がゼミにはいくつかの規則があり、無断欠席はきちんとした理由がない場合には除ゼミとなります。そのような規則と並んで、ゼミ内恋愛禁止というルールがあります。どこかのアイドルグループみたいですね。
そのようなゼミを過ごし、、、
我々のゼミの男女関係はかなり良好です。一般的に仲の良いゼミと言って良いと思います。今年はゼミで、明大祭(明治大学の文化祭)に出店しました。特に男女が個人的に惹かれ合うこともなく(僕の知る限り)過ごしています。
そのような友達感覚で、仲の良いゼミです。
発端
先日、3年も交えてもんじゃ会を行いました。宴会も盛り上がり9時にさしかかるところで、少し遠くに住んでいる4年の女子のゼミ生が席を中座して帰ることになりました。
その時、僕は言いました。
ボク:「誰か送ってけよ」
僕の席はその子から離れており、特別に僕が送るのは変だと思ったため、近くにいた男子に送るように促しました。そうすると、次のようにIくんが言いました。
I:「お前が行けよ」
と。結果、近くにいたSくんが彼女を駅まで送りました。
2次会も終わり全員での帰宅途中、また別の女の子が終電が無くなりそうになり、本体を離れ足早に帰ろうとするのを、今度は僕が一緒に改札まで送りました。
その後、行き先が一緒の本体(つまり、他の男性ゼミ生)と合流し、帰宅することになりました。
今日の議題
今日のゼミ生での議題は、「男子ゼミ生が女子ゼミ生を送るべきかどうか」
でした。
議論したのはボク、最初の女子ゼミ生を送ったSくん、「お前が行けよ」発言をしたIくん、そしてその日の宴会に欠席したEくんです。基本的には、ボクとSくんが送るべき派、IくんとEくんが送るべきではない派です。
まず、もんじゃ会でのボクの「誰か送ってけよ」という発言の真意を聞かれました。
ボクは以下のように説明しました。
ボク:「女子ゼミ生と話した時に「うちの男子に帰りに送ってもらうという発想がなかった」と言われたから、一応気を使ってみた」
そうするとIくんが言いました。
I:「もんじゃのお店から駅までが遠くないから送る必要がない。特に何かしらの犯罪に巻き込まれる可能性もない。これが危ないところ、裏路地とか歌舞伎町ならまだしも、危険性がないなら送る必要はない」
そうするとSくんが言いました。
S:「いや、そういう事ではないんだ。気持ちの問題なんだよ。送ってもらった方がいい気分になれるじゃん」と。
そうするとEくんが言いました。
E:「つまり、男子が女子を送るということは、下心があるってことだろ?なんで、うちの女子にそんな気を使う必要があるのか?」
そうするとSくんとボクが言いました。
S:「いや、下心というわけではないんだけど、、、」
ボク「下心がないわけではないけど、別に恋愛につながるような下心ではないんだよ。」
Eくんが下心のない親切に対して次のように言いました。
E:「いちいちそんな気を使う必要ないだろう。それなりに親しいのに、何を今更そんなことする必要あるのか。」
彼にとって、女性を送るという行動は、下心があるのか、それともわざわざ気を使わないといけない関係の場合のみに行われる、という非常にわかりやすい論理なのでした。
Iくんは、経済的、身体的な明らかな損害がないと思われる場合には送る必要がない、というこれまた分かりやすい理由でした。
ボクとSくんにとっては先に帰る女性を送ることが当たり前であり、そのことをどのように伝えるのかが重要な点でした。またこの会話の端々には、女性を送るようにしようという一種の強制のような提案をIくんとEくんに行なったため、議論が白熱してしまいました。
新しい論理展開
議題の方向性を変えることにしました。もし、対象が後輩になった場合にはどうするのかという事でした。Iくん、Eくん、Sくんの場合には、基本的には性別関係なく送る(そうは信じられないですが)。ボクは後輩が男子だったら、ケース・バイ・ケースで送る、女性なら送る、というものでした。
まず、ボクとSくんは先輩・後輩のケースと同様な思考で女性を送るという発想に至るということを説明しようと考えました。
S:「先輩のお酒がないときに気を使ってお酒を頼んだり出来ない後輩はダメだろっ!?」
そうするとEくんは言いました。
E:「確かにそれはあるけど、女子のゼミ生にそれをやっても今更感がすごいじゃん。」
そこでボクは先ほどの対象が後輩のケースで説明しました。
ボク:「やはり僕達には先輩としてのプライドがあるし、後輩への愛情もあるから、そういうものと同じ要領で女性を送る。」
と、ここでSくんが付け加えました。
S:「女子から、「送る」程度の期待感も煽れない男子としての僕らの姿がダサい」と。
男性としてのプライド
Sくんとボクは自分の理想とする男性像から、女性の期待感を煽れない男性はダサい、というプライドを持っていたのでした。一方、IくんとEくんは僕らの論理とは全く違うものを持っていました。
彼らは、男性陣に「送る」という発想さえ与えられない女性陣に問題があると考えていました。
つまるところ、
かくあるべきだという男性の理想に差があったのでした。
果たしてこれから送るべきなのか
議論を重ねたところ、両社には埋まらないだろうギャップが有ることが明らかになりましたが、まだ本題である「送るべきか、送らざるべきか」については議論の余地を残していました。最初に口火を切ったのはIくんでした。
I:「途中で席を中座して場を盛り下げるようなやつを、なんでわざわざ送らないといけないのか」
Sくんとボクが反論しました。
S:「一人帰る程度でそれほど残る奴のテンションが下がることはないと思う。」
そして、むしろ帰る人の気持を尊重し、それが残る人の気持ちに与える影響を似たケース、つまりサークルやバイトでの飲み会を参考に説明することにしました。
S:「例えばバイトの時に、先に帰ろうとする人がいたら、送るだろう。別に駅まで送る必要はなくて、エレベーターまででもいいから送るようにすると思う。」
ボク:「飲み会をするなら、なるべくみんなに楽しんで欲しいでしょ?先に帰る人は席を中座するわけで、どうしても申し訳ない気持ちになったりするわけだ。それのフォローというわけではないけど、一応飲み会の他のメンバーが気にしているということを、たった一人が送るだけで表現できるんだよ。」
そうするとまたEくんが個別事象である我がゼミでの適用必要性について言及しました。
E:「でも、うちのゼミには全体の合意として表現するべき気遣いがないわけだから、だったら送る必要はない。」
ここまで来て送るべき派であるボクとSくんは、新たな説得方法を思いつきませんでした。
ギブ・アンド・テイク
ここで個別関係に普遍的な原理を応用してみることにしました。いわゆるギブ・アンド・テイクです。お互いに何かを与え合わなければ関係を保つことが出来ないということです。
ここでEくんとIくんは、特に女性陣から何も与えられないから与える必要はないと主張しました。
一方、Sくんは次のように言いました。
S:「ギブ・アンド・テイクって言葉にある通り、ギブしなければ始まらないんだから、まず送ってもいいんじゃないか」
それにボクが付け加えました。
ボク:「つまり、僕らが女性陣を送るんだから、僕達が先に帰るときには女性陣に送ってもらうことは、それなりに要求しよう」
ここまで来て、円滑な人間関係、組織運営という新たな主眼を得て、EくんとIくんは自ら結論を得ることになります。
エレベーターの法則
Eくんは、エレベーターの法則という彼なりの倫理観からこういう結論を下しました。E:「つまり、女子を送るというのは、エレベーターに一番最初に入ったやつが、エレベーターの開くを押すのと同じわけだ。別にその場でギブが返されなくても、社会全体として還元されればそれでいいってことか。」
I:「そういうことなら分かるわ。」
結果、彼らはエレベーターの法則という、彼らの社会生活上の倫理観から新たに女性を送るという価値についての存在を認めることになったのでした。
結論
しかしながら、まだ個別事象としての我がゼミでの場合について考えるEくんはE:「でも、基本的には下心があるやつが率先してやるから、今更やるのは気持ち悪い」
そこで、ボクが言いました。
ボク:「分かった。ボクとSには、別に恋愛に繋がる下心があるわけではないけど、それなりの下心があるわけだから、絶対に下心がないEとIがやればいいんだよ。そうすれば、Eの心配はなくなる。」
こうして今後はEとIが女性陣を送るという結論に至りました。
追憶
この話し合いを経て、ボクが過剰に女性に対して気を使っていることが明らかになりました。それはやはり浪人生までのボクの価値観が強く影響していると言ってよいでしょう。ボクは基本的な男性のヒエラルキーがあまり好きではありません。それは自分のヒエラルキーが低いことはもちろん、上位のヒエラルキーの下位への扱いが酷いと感じるからでした。ヒエラルキーの内部にいる以上、そのような下位への不躾な対応もしなければなりません。
そこでボクはヒエラルキーを離れることにしました。そこで利用したのが、女性陣の力でした。普通よりも女性陣と仲良くすることで、男性陣のヒエラルキーとはまた違う方法で自分のポジションを整えるようにしました。
そのため女性陣の機嫌を損なわないようにすることは、ボクにとっては死活問題でした。それが女性への過剰な対応に繋がっているのではないでしょうか。